父親から電話がかかってきた。


え、急に何事!? 実家に一大事!? と思ったら、


「おまえ、引っ越しするのか」



・・・この日記を盗み見しているのは知っていたが、早とちり甚だしいですよ、父上。



引っ越ししたのはこの日記、ブログだけです。



私は今でも東京に住んでます。これからも。きっと。(夏のカナダを除く)(来週からのアラスカも除く)


***


ブログの移転先は、ちょっと評判微妙なgoogleブログです。こちら。

http://aonodokutsu.blogspot.com/

お久しぶりです。


突然ですが、小豆を煮るのもそろそろ飽きたので、


新しい場所 に引っ越すことにしました。


青の洞窟2008

http://aonodokutsu.blogspot.com/


3年以上もお世話になって、いろいろ想い出染みつくamebloを離れるのは、寂しいものもありますが、ランキングなどに興味がなくなった今、ここにいる意味があんまりなくなりました。



それから、

どなたか、

今まで書いてきた記事を、一気にPCにバックアップする方法教えてください。お願いします。

ひとつひとつ、コピーするしかないんでしょうか、ね?・・・10年かかりそうです。



では、お引っ越し先 でお待ちしております!!


betty

beans


紅白ききながら、鍋いっぱいに小豆煮る大晦日。グランドキャニオンやNYのタイムズスクエアやオーロラの下やメキシカンなバーで大騒ぎしてカウントダウンをしてきたここ数年と比べると、なんと地味でなんと落ち着いていて、なんと普通な12月31日よ。


お汁粉は、甘味屋で食べるものだ、という認識が、自分で作る、という認識に変化したこの事実こそ、この2007年の最後を締めくくるに相応しい。恥ずかしながら、生まれて初めて、豆を調理しているのだ。



この夏、遠くアラスカの原野まで出かけ気づいたものは、意外にも、「地に足つけた生き方」だった。何を食べて、どこに住んで、どんな時間を過ごしていくか。今まで、効率と便利さだけを選択し、蔑ろにしてきたことが、浮き彫りになってしまった。ただ、ここ数ヶ月は、あまりに足つけすぎて根っこが生えてきたので、2008年は、もう少しバランスをとって、外に気持ちを向けていこう。



お汁粉のいい匂いにつられ、今晩は食べるつもりなかったのに、気づけば、蕎麦茹でずに、餅焼いている。蕎麦でなく、豆で年越しだ。




というわけで、


お汁粉とともに、年末のご挨拶といたします。

今年お世話になった皆様、どうもありがとうございました。


2008年もどうぞよろしくお願いします。


青崎 涼子







「冬至」と聞いて、


ゆず・かぼちゃ、から、


「ああ、これで毎日、昼が延びていくね」と考えるようになったのは、


ヤツの・・・、アラスカのせいだと思う。


冬、終わり。

春、始まる。


嬉しいぞ。





Self-Leadership Tasks


Take respnsibility for yourself.


Take responsibiliy for your own learning.


Risk saying wht you think.


Own what you say.


If it needs doing, do it.


If you don't understand, ask.


Enjoy your surroundings.


Maintain a sense of humor.


Help others learn and succeed.


Be kind.


Push yourself.


Admit your mistakes.


If it is not safe for the group, don't do it.


Participate and observe.


Learn from your experiences.


***


ふむー、鼻息荒い、日経Associeあたりの記事みたいだけれど、これはNOLSの教科書から引っ張ってきた文章で。


と同時に、2008年の手帳、最初のページに記した、来年の自分の指標です。



***


「私はこれからどこへ行けばいいの?」

「それは、どこへ行きたいかで違うさ」


ルイス・キャロル, Lewis Carroll
ふしぎの国のアリス ― Alice's adventures in Wonderland 【講談社英語文庫】





Likelihood

NOLSでは、見渡す限りの青空の下で、リスクマネージメントの授業も行われる。そう、ここは、アウトドア学校であると同時に、リーダー養成学校でもあるのだ。山を登る、とか、嵐に遭う、とか、原野で生きるとか、机上でなく、生の体験からこそ、身につくことはある、という。


判断を間違えれば、それは同時に、「崖から落ちてビバークする」「びしょ濡れになる」「眠れない」「体調不良になる」「怪我をする」と、自分が不快・危険な目にあうことを意味するから、イヤでも真剣にならざるを得ないのだ。


***

物事へのリスクは、上の4つの枠で捉える。

likelihood = 可能性

consequence = 困る結果 


たとえば、

HIGH L X LOW C ... 天気の悪化

LOW L X LOW C .... 足首の高さまでしかない川で溺れる

HIGH L X HIGH C ...夏の山の中で低体温症になる

LOW L X HIGH C ... 熊に襲われる



もう少し詳しい例を挙げると


「あんまり起こらないとは思うけど(LOW L)、もしそれが起こったら、超やばい事態だ(HIGH C)」というのに、


「添乗で海外にいくときに、パスポートを忘れて成田に向かう」というのがある。うぅぅ。考えただるだけでも肝が冷える。


以前いた旅行会社では、でも、それは可能性ゼロではないから、と、対策を取っていた。見送りヘルプ社員は、必ずパスポート持参で、空港に行くのだ。そして実際、同僚は、先輩添乗員の代わりに、1泊3日で、カナダに向かったことがある。着の身着のまま。



そう、肝が冷えるリスクは、減らしていかないといけなくて、減らすには、以下の4つの方法がある。


a) avoid... 回避する(常に4人行動で声を出し、熊を近づけない)

b) mitigate... 緩和する (岩場は、落石を避けるためにヘルメットを被る)

c) retain.... そのままやりつづける 

d) transfer... 委譲する (難しいデナリに登るので技術あるガイドを雇う)




昼間のハイキングだけど、日が暮れても困らないよう、一応ヘッドランプ(と、正しいサイズの換えの電池)を持って行く、とか、


毎日続く忘年会、二日酔いを緩和するために、予め牛乳飲んでから参加する、とか、


朝5時起きしてでかける仕事は、「寝坊」を a) avoid するために、目覚まし5個かける、とか、いや、いっそ寝ずにいる、とか。 いや、b)mitigate で、4時半に起きて、1本早い電車に乗る、電車が少しくらい遅れても、集合時間に間に合うように、とか。


まあ普段から、意識せずとも、皆やっていることなのだけれど。



***


なんで、こんな話が出てくるか、というと、自分の失敗談を書きとめておきたいからだ。

戒め戒め。


先週、スライドショーのために、googleのプレゼンテーション・ツールを使って、プレゼン資料(写真100枚なので重たい。googleのサーバに保存されている)を用意した。家の最新パソコンと高速ネット環境では、何の問題もなく、作れた資料だ。


まさか、そのファイルが、当日、開いてくれないリスクがあろうとは・・・、作っているときに、一瞬だけ考えたけど、コンピュータの苦手意識と、LOW-L (きっとおこらないだろう)を信じて・・・、面倒くさがっただけ、なのだけれど・・・、そのまま、何の対策も取らずに当日を迎えてしまった。


で、案の定、会場で開けないその資料。サイズが重すぎて、すぐにパソコンが固まってしまう。書面に原稿を落としておく、とか、他のメディアにコピーを落としてもってくる、というリスクマネージメントをしなかった私は、目の前で固まりつづけるパソコンに、自分の頭も、フリーズだ。



ふーむ、写真なしで、話だけで2時間語るのか・・・と、覚悟を決めた瞬間に、まさかの天使が現れ、その状況を救ってくれた。無事復活した資料で、Leave No Traceの話を、来てくださった19名の方々にすることができたのだけれど、


正直、3日くらい、寿命が縮まった。


***


来年の課題: 好ましくない事態の発生に慌てない。理想の「オプションA」がうまくいかないこともある。「オプションB」「オプションC」を考えておくこと!





'Whether it's at home or on the trail, living a simple life lets me fous on the things that really matter -- family, health, God and environment.'


Andrew Skurka

--the first person to complete the 6,875-mile Great Western Loop, by walking an average of 33 miles per day for 208 straight days




6875マイルって・・・11000キロかー。

世の中には、歩くの好きな人って、いるんだなー。


じゃなくて。


街で暮らしていると、情報もモノも人間も楽しいことも、あまりにも溢れすぎていて、

何が大切だったのか、って本質が、見えづらくなってくる。

徐々に徐々に。


今、アラスカで毎日書いていたノートを見直すと、思い出す。


山で感じていたあの「シンプルであること」の美しさを、

そう、

街に戻っても実践しよう、って思ったんだ。



シンプルな美しさ、が、うまく伝わるといいんだけど。18日。






matanusuka


「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ。重いものを背負いながらタップを踏むように」


伊坂 幸太郎
重力ピエロ (新潮文庫)

***



一歩踏み込んだところにあるアラスカの景色というのは、「ああ、私この惑星に生きていてよかったな」と毎度毎度、ため息をつかせてくれて、


だから、誰かにも教えたくて一緒に連れて行きたくてこの仕事をして、


だから、この自然がこの自然のままでずっとずっとあるために自分がすべきことを考えて、


だから、


来週のスライドショーは 、今の私にとって、必要な階段なのです。




せっかく出かけた、あったかい南の国で、あろうことか膝を故障して痛々しく戻ってきた東京は、もうせわしない師走モード全開だった。


2008年の手帳は買った?

2007年のまとめは?


***


NOLSの学校では、1ヶ月、街の子にとってはハードコアな野外生活を過ごさせ、最後の3日間で、「この1ヶ月間考えたことを、街に戻ってどう生かしていくか」という授業が行われる。


「いやー、クマに近づかれないように、連れションならぬ、4人連れウンコ、ってのも、終わってみれば楽しい体験だったね」


と、笑い話で終わらせるにはもったいない。せっかく、根幹の考え方と生き方の変化をもたらす経験値を積んだのだから、それを、今後の人生に生かしましょう、と。


で、それぞれが、「こんなことをやります。」と、目標をノートに書き留め、隣の人に宣言した。私は、ケーティに。ケーティは私に。




・なるべく公共交通機関をつかう。自転車大好きになる。

・アラスカで使い倒して小汚い、このネルジン水筒を街でも持ち歩く(ペットボトル買わない)

・今後、自分が携わる自然ツアーでは、LNTの話をきちんとする

・せっかくトレーナーになったのだから、私の周囲にいる、自然好きな人たちに、LNTを広めるために、スライドショーをする。




この目標がきちんと達成されたか、やっているのか、半年後に、互いにメールで確認をしよう、ということになっているのだ。彼女から。・・・半年後って、今月末じゃん。スライドショー、まだやってないね。



というわけで、今年中にスライドショーをしないと、2007年が終わらないのだ。今年の手帳が片付けられない。私は、律儀なのだ。


***


忘年会シーズンを無視したスケジュールは承知の上で、だから、来週、やります。


来てくださった方が入手できるのは、日本のパン教室の先生びっくりの、「体温でパン生地を発酵させる方法」その他、災害緊急時に生き延びる情報沢山と、1ヶ月人間が生きていくのに必要な持ち物リストと、一度罹病すると、なかなか完治できない「アラスカ病菌」、です。


それでもよかったら、来てください。


「LNT(Leave No Trace)を学ぶ 森のなかでウンコする方法」

■開催日時: 12月18日(火) 19:00~21:00 
■場所: 地球探検隊オフィス

http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1218lnt






alaska


荒川土手サイクリング道は、どこまでも平坦で、しかも見える景色は、のどかな工場街と河川敷の野球少年ばかりだ。山を走るのと違って、あんまり外界に気をとらわれない。というわけで、昨日は、走っている1時間59分(←はっはっはー、自慢気)、意識は自分の内へ向かい、いろいろ考えた。


「いろいろ考えた」なかで、かなり唐突だけど、


望ましきリーダーの姿、ってのがある。

ホント、唐突だけど。


リーダーには、「こっちへ行こう、ついてこい」な背中が必要だ。



で、その根拠は、またNOLSに戻るのだが。


NOLSは、どこにテントを張るべきか、という、O=アウトドア技術も教えてくれるが、同時に、L=リーダーシップを学ぶ学校でもあって、それは、毎日毎日、実践で、リーダー養成塾みたいなことをやらされる。自分のことはさておき、他の生徒に目をやれば、面白い人間観察の機会だった。




コース中の毎日というのは、「次のXポイントまで辿り着く」というのが、その日やるべきの一番大きな・・・、というか、唯一の目標だ。最初はインストラクターが、地図の見方と歩き方を教えてくれながら、先頭きって歩いてくれるのだが、徐々に、生徒に主導権が渡される。


4人1組のグループをつくり、その日のリーダーを決め、リーダーがみんなの意見をまとめつつ、1日の戦略を練って、Xまでの道のりを決めていくのだ。


といっても、Xまでは、何の道があるわけでもなく、写真のように、ただ、山と川と森とツンドラが、茫漠と広がるだけな、トホホな場所。地図とコンパスだけが頼りだ。「遠くに見えるサドル(・・・鞍部?)を超え、4マイル先にある川の合流地点から、東の支流に入り、さらに1マイル上流にいった、少し平らになっていそうな場所」Xへ向け、歩きやすそうな道を決め、辿り着かなくてはいけない。



ある日のリーダーは、普段小学3年生にアウトドアを教えているという、カリフォルニアン・エミリー(20代半ば)で、メンバーには、私が見るに、このワイルドな環境がイッパイイッパイ気味で、ちょっと神経質になっている、東海岸からやってきた、イラナ(20代半ば)がいた。


開放的で陽気な西海岸の私と、まじめで根暗な東海岸の人間だから仕方ないのよねぇ、とは、エミリーの弁だが、この二人の相性は水と油で、笑えるほどに気が合わない。小学生を率いるように、何でもすべてを自分だけで決め、1から100まで口を出すエミリーに、イラナは、イライラしてしまうのだ。


この日は、川沿いをまっすぐ歩く、という、比較的楽な行程だった。


エミリーが最初に決めたのは、いくべき方角を見失わないように、と、本当に、川岸を進むことだった。が、すぐに、全く平らなところがなくなり、気づけば、傾斜50度くらいの崖をトラバース、という、あんまり楽しくない道になっていった。


20mほど、この崖を上がれば、平らな場所にでるが、そこは、鬱蒼とした森とコケが広がっており、その藪漕ぎも、楽しくないことにかけては、崖道とイコール、という状況。


どっちもどっちだよ、という選択肢なのだが、後ろでイラナが「こんな危険な崖を選ぶなんて」とブツブツ文句を言う気配を察し、彼女の気持ちを損ねたくないエミリーは、「じゃあ、上の道を行ってみようか」と、茨の道へ入る。


あの藪こぎをしたことない人に説明するのは難しいのだけれど、右も左も前も、木と枝が立ちふさがってて、さらに、足下は、バランス取りにくい、深くて柔らかい苔林と倒木。全然、前へ進めないほどの、ため息がでる道なのだ。


すると、下の方から、崖道を選んだ他のグループが、私たちを追い越していく。それを見たエミリーは、「やっぱり崖に戻った方が早く進める」と言い出して、また、下へと下りていく。


それを何度か繰り返し、河原と、その上の森とを、ジグザグに進む私たちは、この日の到着は、3グループのなかで、最後尾だった。しかも、リーダーなんて信じられないというイラナの不安感と、それを察して、陽気に空騒ぎするエミリーが作り出す不穏な空気に、他のメンバーはドキドキしながら、互いをなだめながら過ごしたため、妙に疲れた1日だったの。




別の日。


その日のリーダーは、大学1年生、一番の年下で、みんなから「ベイビー」呼ばわりされていた、メヨ。彼は、何においても、積極的に首をつっこむことはなかったが、タフな状況に落ち込むこともなく、常に、イージーゴーイングな姿勢を貫いていた。


この日は、「森の中を東北東に3マイル進むと川にでる」という行程だ。時間的には短いが、歩いている3マイルの間は、森で視界が遮られ、自分がどこにいるのか分からない。私がリーダーなら、かなり不安げに、地図とコンパスと首っ引き、になるような森だった。


が、彼は、「こっちだよ」と、どこからでてくる自信なのかは知らないが、何の迷いもなく、楽しげに、ズンズン歩いていく。途中、ブルーベリー畑があれば立ち止まり、川ではのんびり休憩し、さあ、行こうか、と、また地図も見ずに歩き出す。ねえ、本当にこっちで合ってるかな?と私が問えば、


「でもさ、方向が少しずれていても、ゼッタイ、この川にぶつかるから、それまでは心配ないじゃん。大丈夫だよ~」


と、満面の笑みで返してくる。


果たして、我々は、何の問題もなく、次のX地点までたどり着いた。楽しいブルーベリー・ピッキングのおまけつきで。




経験値からいえば、エミリーは、すでに、アウトドア業界で働いていて、メヨよりもずっと上だ。それでも、メヨが持っている、あの「大丈夫だから行こう」な背中は、この状況では、下手な地図読みよりも、休憩だから水飲んで、っていうような心遣いよりも、ずっと重要だった。


メンバーの誰もが分からない未知の世界を進むとき、Xはあっちだから、今いるこの道をまっすぐ行けば大丈夫、という、あのリーダーの背中が必要だ。ゴールをみつめ、迷いを捨てて、真っ直ぐに、突き進めるような、勢いと、潔さ。


***


別の日には、私もリーダーをやった。どきどきしながら。


メンバーの感想(毎晩、その日の反省会をやるのです)。


「あんまりおしゃべりじゃなくても、存在感があるってことができるんだって気づいた」

「みんなの可能性を信じて自由にやらせてくれた」

「アラスカを楽しむ時間をつくってくれてありがとう。今日が一番アラスカらしい1日だったよ」

「このまま、今の自分を信じて精進してください」


アメリカ人は褒めるのがとても上手で、私は褒められ慣れていないため、こういうコメントは、どうにも背中がくすぐったくてしかたない。


***



あ、時間切れなので空港へ向かおう。久々の成田だー。


この続きは、12/18に、(脱線すれば)お話できるかも。忘年会シーズンまっただ中ですが、どうしても「年内」に実施したので、この日程でやります。


「LNT(Leave No Trace)を学ぶ 森のなかでウンコする方法」

@地球探検隊(新宿御苑)