「このたびは東京マラソン2007にご応募いただき誠にありがとうございました。お陰様をもちまして定員を大幅に上回る申込があり厳正なる抽選を行いましたところ、誠に残念ながら今回はご意向に沿えない結果となりました。」
がーん。
10キロ走っただけで、階段降りられなくなる自分がいうのも何だが、残念だ。せっかくフルマラソン挑戦しようと思っていたのに、残念だ。しかたない。私の分も、79に気合いいれて走ってもらおう 。私は登山に精を出そう。
***
「イクラとマツタケがあるからいらっしゃい」と母はいう。いつも彼女は、私をエサで釣る。そして、私はいつも釣られる。で、嵐にも負けずに、実家に立ち寄り、呑気な世間話をしながら、イクラをプリプリ、マツタケをコリコリ食べていると。
母:「あら、あなた、足の親指だけ、黒いペディキュア?」
私:「いや、これは、登山のしすぎで、血豆・・・」
これがいけない。さっきまで快晴だった私の頭上にドヨドヨと暗雲たちこめ、嵐が吹き始めた。タイミング悪く、テレビのニュースは、「最近クマに襲われる事故が多発」と読み上げる。そういえば、あなたこの間、クマ見にいってなかった?だの、山は怖いのよ~、だの、ベクトルが、おかしな方向に向きだしたので、とっとと退散。
今晩、嵐の二重奏。
でも・・・
クマは、そんなに簡単に人間は襲わない、と思う。目があっても、全然私には興味なさそうだったもの。(ヘインズ・アラスカ)