20センチも積み重なる仕事の束のことは忘れ(今日は定休日なので)


土曜日からの北行きに備え、買わなくてはならないデジカメの充電池とウエットティッシュと三脚を後回しにし、


もう1週間も出しっぱなしになっているクリーニングは、もう1日とりに行くのを遅らせ、


・・・てでも、このチャンスは、後回しにせずに、今日やっておくべきだと直感。夏の終わりに、きっちり復習しておきたかったから。後回しになるであろうイロイロを考えると3秒迷ったが、感覚で生きる私は、この直感を信じてみることに。無理矢理入れた、1日の完全オフ。


というわけで、まだ真っ暗な朝4時半起きで、岩を求めて伊豆へお出かけだ。


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レニア山で学んだ、ロープワークを復習したかった。

カナダの氷河で学んだ、クレバスレスキューを忘れないうちにおさらいしたかった。

とはいえ、日本に氷河はないから、だから、岩にいくしかない。




という理由で参加したコースなので、メインメニューは、ロープワークの復習で、サイドディッシュが岩登り、のはずだったのに。


気づいてみたら、今まで体験したことない、マルチピッチで登っていく足が竦むような高さでのクライミングを、一番美味しく食べていた。


自分のレベルでは「ザ・挑戦」なルートでは、途中から、遙かかなたの、ビレイヤーの声は聞こえなくなり、原生林にこだまするツクツクボウシの声だけが耳の奥で大音量で鳴り響く。目の前10センチに広がる茶色い岩と私しか、世界には存在しない、あの短くて濃い数分。


「誰もいないところでさ、こうやって岩に張り付いている時間って、この上なく幸せだよねー」という、根っから岩好きのガイドがつぶやく。最初は、「は?岩に張り付くのが楽しい?奇特なお人だ・・・」と思っていたのに、1日の最後には賛成できるまでに岩肌と戯れていた。



湿度100%の暑さのなかで9時間も遊んだら、全身汗だくだ。まだ夏だもの、近くを流れる「かの川」で、涼をとろう。パンツの着替えもないのに、川にザブザブ飛び込んで、子供のように水遊び。


で、ビールに気持ちよく酔いつつ、さきほどご帰宅。


8月の最後に、いい夏の1日。


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今日失ったもの : アラスカ出発までの睡眠時間


今日得たもの : 削れた爪、指のハラの無数の擦り傷、左膝の青痣、2006夏の想い出となる蝉の声。


wish list : 2年半レンタルで通しつづけたクライミングシューズ