さあ、お盆も明けたので、またユーコンに戻るよ。
せっかく山の上にいるのだから、「モルゲンロート」を見たいというのが、当初の願いだった。
願いは、なかなか山の神には通じず、
4日間、朝はいつもシンシンと降る真っ白な雪で目が覚めて、
5日目、最終日にようやく、雲が切れた朝、夜と朝の境目を見ることができた。
できた、というと、主体的だが、人に助けられたのだ。
前の晩、みんなが寝た後、オーロラ一人自主当番をしていた私は、徹夜明けの朝5時、全然赤くならない空に痺れを切らして、もう今日もムリ~と、とうとうシュラフに潜り込んだ。
冷たい足が、ネルジン水筒手作り湯たんぽでようやく夢心地に温かくなった瞬間、
「青ちゃーーーーん!起床ーーーーーーーーーー!ローガンが赤いーーーーーーー!」とアイスフィールドに響き渡るチンさんの声が、私を現実の世界に戻してくれた。
慌てて靴下も履かず飛び出たその視線の先に。
群青色と、茜色の、潔いほどの2色が、広がっていた。
持つべきものは、温かな友情だ。