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CHANDALARA家一の実力者、ベルマ。


ベルマは、アラスカの西に浮かぶ島、セント・ローレンス島出身のエスキモー。対して、夫のキースは、白人。今でこそ、それほど疑問に思わないけれど、きっと、彼らが結婚した30数年前は、この異文化結婚は、とっても大変だったんだなーって、今回感じた、夕食時の会話。


「ある日ね、私が父を呼びに、カフェに入ったら、父とトランプをしていたのがキースだったのよ。キースは私を気に入って、話すきっかけをつくろうと、ジュークボックスにコインを入れて欲しいと頼んできたんだけど、私は友達にお願いしちゃった」


結局口を聞くことはなかった、その1年後に、親戚一同の反対を押し切って結婚した二人だが、自動車なんてない島で生活していた彼女には、フェアバンクスは大都会だった、と、いう。


「二人の考え方は違うから、それぞれの意見を尊重して、それぞれのORIGINを尊重して、彼の文化も、自分の文化も大切にしていこう、って、ずっと考えながらやってきた。あなた方も、日本という文化を、自分の持っている背景を、大切にしてね。」


「都会にいると、何でもほしくなる。村にいるときは、そこにあるもので満足していたはずなのに。だから、たまに立ち止まって考えるの。それは本当に必要なもの?って。服は、この20ドルのセール品で、私には十分なのよ。Control yourself.」


「車に乗っていると、今日のスケジュール・・・あれやって、これやって、って、そんなことばっかり考えてしまうから、たまに、わざと歩くのよ。森の中を散策しながら考えることは、そんな卑近なことじゃない。人生とか、もっと大きな視点から、ものごとを考えるのに、とてもいい時間」


「馴れてしまう。この景色にも。だから、あなた方みたいなお客さんがきて、オーロラに、家から見える景色に喜んでくれるのをみて、私も思い出すの。ここの素晴らしさに。だから、みんなには、感謝しなきゃね」



ベルマは、たまに、心にじんわり染みていく言葉を、そっと届けてくれる。


一緒に夕食食べているとき。テレビ見ているとき。

冗談のあとに、ふと続く言葉に、私はいつもハッとする。

聞き漏らさないよう、必死に胸に刻み込む。