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「風呂は入れないけどさ、キャンプの後は、焚き火のスモーキーな匂いが服について、それがまたいいんじゃない?」


と、前回の記事を読んだ方から、メールをいただいた。


「キャンプ」という言葉から、連想ゲームをしたら、


1.焚き火

2.飯盒炊さん

3.酒


が、ベストスリーだろう。


うんうん、キャンプといえば、焚き火だよね。マシュマロを枝に刺して焼いて、ボテっと落として、あら、がっかり、だよね。


***


ところが、NOLSは、エコでヒッピーな学校だ。そんな、環境にダメージの大きいことは、残念なことに、そう簡単には、許してくれない。



NOLSで徹底的に教えられることのひとつが、「Leave No Trace  (LNT)なキャンプ方法」。なるべくなるべく、自然に負担かけないやり方でキャンプをしていく。


LNTには、7つの基本の掟があるのだが、そのひとつが、「Minimize campfire impact」・・・キャンプファイアは最小限に!だ。不必要な焚き火は、土壌を痛め、景観を損ない、燃やさなくていい木を使ってしまうことになる。だから、焚き火はできるだけしない。料理はストーブで行い、火を熾さなくても寒くないよう、十分な上着を持って行く。


どうしても焚き火をしないといけない場合は、河原の砂地に、小さな穴を掘って、そこをファイアピットとする。使っていい木は、腕より小さな枯れた枝のみ。木は必ず燃やしきり、灰は、川にばらまく。次の人が来ても、そこで焚き火をしたとは気づかれないように、後片付けすること。余った枝は、もちろん元に「ばらまき」戻す!


そんなピリピリと厳しい決まりごとを教わったある日、たった1度だけ、焚き火のチャンスはやってきた。完璧な河原。砂地。教えられた通りに設置した、15人が囲むにしては、ちんまりすぎるくらい小さな焚き火を、全員で、わくわくしながらつくりあげた。そう、なんだかんだいっても、皆、焚き火は大好きだからね。そして、この貴重な火で、ケニーの、49回目の誕生日ケーキをつくった。


もちろん、ダッチオーブンなんて重たいものは持って行っていないが、それでも、ケーキは作れる。蓋の上に、小さな木切れを載せ、上から加熱すればいいのです。



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ろうそくを見つめるケニーは本当に嬉しそうで、小さい焚き火ではあったけれど、何だか、実際の火以上に、暖かく感じた夜だった。(写真は暗くないけど、すでに夜10時くらい。そう、アラスカの夏に闇はない。)




ケニーについて。


今回、参加者のなかでは一番年上で、いつも落ち着いていて、スペシャル・コーンブレッドを作るのが上手で、何かというと私の相談相手になってくれた、ケニー。ニューヨークで、たくさんの部下を持って金融の仕事をするビジネスマン。友達とアコンカグアに登ったこともあるくらいのベテラン・アウトドアマン。


そんな彼が、まだNOLSに参加するのは何でなんだろう。


「NOLSはね、15年ごとにきているんだ。ティーンの頃、30代、そして今回・・・。学ぶことはいつだって沢山ある。いくつになってもね。これを機に、地域の子供たちにキャンプを教えたいんだ。そうだ、今度は、息子に参加させようかな」


アラスカで、彼の節目の日を、一緒にお祝いできて、よかった。