食事の話はいくらでも続けられるなー。食欲は、人間の三大欲求のひとつだからか。単に私が食いしん坊なだけか。
いくら考えられた食糧をもっているとはいえ、絶対的に不足するものがある。
新鮮な野菜・果物。
ドライ・オニオンを水で戻す度に、ビタミン錠剤を飲む度に、メンバーと会話したものだ。
「町に帰ったら、超~新鮮なサラダを、思い切り食べたいー」「いや、パリっとしたレタスが挟んであるハンバーガーじゃない?」
が、その夢は、町に戻る前に、少しだけ叶った。
フィールドにでて2週間すぎた、7月半ば。ようやく、ブルーベリーが実をつけはじめてきた。
まだシーズン初旬で、実は小さく、酸っぱかったけれど、ブルーベリー・フィールドをみつけると(それは、だいたいにおいて、ツンドラの南斜面だった)、背負っているバックパックを放り投げ、心ゆくまで、その酸っぱさを味わった。食べきれない分は、水筒にいれてキャンプ地まで持って帰り、パンケーキに投入した。
ブルーベリーは、単調な食生活が続く我々にとって、救世主のような存在だった。
そう、7月、私の体内のビタミンCは、日本からもってきた錠剤と、酸っぱいブルーベリーによってのみ、形成されていたのだ。
そしてやっぱり、町に戻り、1ヶ月ぶりに口にした、バナナとオレンジと人参の、あの口にいれた瞬間のジューシーな感触と喜びは、あまりに衝撃的だったことも、加えておこう。