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まあ、というわけで。つらつらと書いてきたこの「雪景色と冒険心」シリーズは全て、大場満郎さんを 訪れた、ほんの数日間の出来事なのだけれど。このほんの数日間、ずっと一緒にいてくださった大場さんは、かつて出会ったことのないくらい、飾りなく、正直で、スケールの大きな、すべてに直球の人だった。今回のタイトルは、超クサイけど、でもそうなんだもの。


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北極・南極徒歩横断を成し遂げた世界の冒険家、という肩書きに、会う前は勝手に自分で壁をつくっていた。星野道夫や植村直己のように、その名前は、テレビの向こうの伝説の世界の人で、そうそう簡単に会えるものでも、話してもらえるものでもない、と思いこんでいた。だからこそ、連絡をとったときに、事務所のスタッフなどではなく、いきなりご本人と話をすることになって、妙に緊張していたのだ。


でも、最上駅までわざわざ出迎えにきてくれた彼は、全くもって普通の人で、そのにこやかな、人懐こい笑顔に、余計な緊張は、一瞬にして消え去った。肩書きとかは関係なく、おそらく誰に対しても、人間対人間の接し方をされているのだろう。初対面だから、といった遠慮も何もなく、気持ちをオブラートに包むことなく、魂そのまま、直球で語りかけてくる彼に、こちらも、全部をさらけ出さないわけにはいかなくなっていた。魂むき出しで。


だからこそ、出会って数時間後には、生き方とか、人生とか、普段なら、泥臭くて照れくさくて口にはしない話を、してしまったのだ。今思えば。


彼の人生観は、著作を見ればしつこいほど書いてあるので、ここでは詳しく書かないが、一番心に残ったことを、ここでは書き留めておこう。


何かを成し遂げるには、生き方(考え方) × 情熱 × 能力 の3つが相乗されて成り立つものだ、という。そのどれかが間違っていたり、欠けていたりしたら、やっぱり周囲を説得することも、成し遂げることもできないよね、と。この、「生き方・・・自分は何のために生きているのか」という部分は、簡単そうで一番深い問題じゃないだろうか。


久々に、日本でゆっくり過ごすこの正月は、いい機会なので、じっくり自分とむきあって、「生き方」を再度考えてみよう。




そして、地球の極地と誰よりも向き合ってきた彼が、冒険を成し遂げるのに必要だった3つの要素、


畏れ

謙虚

感謝


の言葉を、2007年の手帳の表紙に書いてもらい、来年の抱負としようと決めたのだが・・・。あぁぁ、今の私といったら、何も持ってない!!