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畑の土に触ったのは、いつ以来だろう?


雪を掘り分け、土に埋まるニンジンを収穫。無農薬で、愛情たっぷりに育てられた、大きさも、形もさまざまなニンジンたち。近所のスーパーでは、こんな形のニンジンは売ってない。


大地から取りだしたばかりの野菜を、その場で囓ると、お日様の味がした。ニンジンはどちらかといえば苦手なはずなのに、美味しくて、ボリボリ食べた。ウサギのごとく。


山形にいる間、食べていたのは地場の野菜と米だ。素朴な煮物、おひたし、漬け物、味噌汁。地味といえばこのうえなく地味なのだが、不思議と、東京の高級レストランよりも豊かだと感じる。そうそう、グラス1杯のビールと、笑いの絶えない会話が加わって、夕食タイムはいつも2時間続いた。


一緒にいた友人が言う。


「食事にはさ、いい食事と悪い食事があるよね。会社の食堂に座って食べているご飯は、まずくはないんだけど、いい食事じゃない。太陽の下で食べるサンドイッチの美味しさや、こうやって好きな人達と楽しく食べるご飯の美味しさを知ると、いい食事を選びたいな、って思うんだ」


ここでは、大地と食卓が、すごーく近い。


大場満郎冒険学校・山形