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同じ日本なのに、auはずっと圏外でアンテナは立たず、


同じ東京のくせに、1000キロも離れていて、


同じ11月だというのに、気温は25度 もあって太陽まぶしく、


それに、こんなに便利な世の中なのに、未だ飛行機が就航しておらず、小さな貨客船でえっちらおっちら、なんと25.5時間もかけないと辿り着けないという小笠原 は、


よりによって、アラスカやハワイやヒマラヤや、私が好きな場所を同じく好きだという友達知人先輩後輩、たくさんの人から、「あそこはいいよ~」と言われてきたため、ずっとずっと、気になる場所だった。


だからこそ、観光局主催の研修旅行 、の文字に「渡りに船」と、飛びついてしまったのだ。


・・・が、まさに、この船が、問題だった。新幹線にも酔う私が、キーウエストのサンセットクルーズで一人船酔いで寝込む私が、太平洋の大海を、25時間も耐えられる??船酔いは、あれは、辛い。上からも下からも出すモノがなくなって、でも吐き気は止まらず、涙を流しながら、便器の横で、「ああ、このまま大海の波の滴となって消えてしまいたい・・・」と思わせる、逃げ場のない苦しみは、考えるだけで・・・今も気分が悪くなる。


***


だが、私は知恵でこの難関をくぐり抜けたのだ。

レインボーブリッジを通過後、慣れない睡眠薬を口に含んだ私は、その後22時間、ゴハンも食べず、トイレに起きることもなく、半仮死状態に。全く意識のないまま、かなり酷かったらしい海のうねりを突破した。


ようやく辿り着いたそこは、楽園。


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