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オハヨウゴザイマス。シアトルと東京の時差は16時間、さらに山では早寝早起きなので、体内時差ほぼ12時間。今回はいつもに増して、完璧な時差ぼけ。


今日は4時起き。5時前、家の窓、建物の隙間の、小さな小さな空から、あがってくるお日様がみえたよ。ラッキー。


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さて、Mt.Rainier National Park は、ワシントン州、シアトルから約100キロのところにある国立公園。


7月に入り、ドライで爽やかな(東京でいうと、体育の日の運動会の朝、カラっと太陽光が清々しい秋晴れの1日のような!)青空、


雪解けがようやく進み、チラホラと黒い大地が姿を現すそのわずかな夏を狙って咲き出した高山植物の花々の、生命の息吹を感じさせる光景、


さらにその正面に気高く優雅にそびえる氷河の山Rainierの、威厳のある姿。


そんな清々しい場所で1週間も過ごしておきながら、最初の話題が、ウンコか・・・。でも、軟弱都会派似非アウトドアラーな私には、この排泄問題は、重大なファクターだった。


以下、食事中の人は読まない方がいいです。


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今回参加した、RMI6日間のExpediton Seminar では、人の道=トレイルから外れてズンズンと、クランポンとアイスアックスで氷河を突き進み、雪の上や、わずかに露出した岩の上にテントを張って生活する。こういう、バックカントリーと呼ばれる場所では、


「Pack it in, Pack it out」
持ち込んだモノは全て持ち帰ろう


がLeave No Trace大原則で、持ち込んでないんだけど、途中で生み出される人の排泄物も、その例外ではない。


今まで、「土をシャベルで掘って穴のなかに埋める」という作業はしたことがあったが、今回は氷河の上。掘る土もないし、ブツを分解してくれる微生物もいない。ちょっと、ガーン、な状況だ。


そこで登場するのが、Blue Bag。
街の豆腐屋で買い物すると豆腐を包んでくれるような、ちょっと頼りない青い薄っぺらなビニール袋が2枚と、ハリガネ2本と、頑丈な透明ビニール袋のセット。


これが、初日に日数分(または利用予定分)配られ、何より最初に説明される。山中で排泄されたブツは、この3重になる袋に厳重に封印し、トレイルヘッドまで持ち帰らないといけないよ、と。(そして、ちゃんとトレイルヘッドやパーキングに、「ブルーバッグ専用ゴミ箱」が、あるので、そこに捨てる)


・・・いやー、屋外トイレにようやく慣れた私でも、さすがに最初に処理する際は、心理的抵抗大きかった・・・。自分の排泄物を、袋越しとは言え、触る・・・。そしてそれを1週間持ち運ぶ・・・。しかも、日頃はどちらかといえば「出ずに困る」ことが多い状況のに、今回に限り、大自然のなかで、完璧に体がリラックスしてしまい、超快腸(←造語)。ハラダタシイこの体よ。


地球にはロウインパクト、心理的にはハイインパクトなこの処理をしながら、バックパックの端っこに、絶対に漏洩することなく固く封印されたブルーバッグとともに、毎日は過ぎていった。


1週間後、ベースキャンプに降りてきて、水洗トイレに再会したときは、便器をじっとみつめた。流れゆく渦巻きをみながら、パチパチと、拍手。


という心理的艱難辛苦を乗り越えたことで、また、フツウの道から一線を越えてしまった。こうやって、人は怖いモノがなくなり、タフになってゆくのだね。



が、言い訳すると、そんなブルーバッグなんて軽く乗り越えられるくらいの景色が、そこにはある。雲の上のホテル(キャンプ場・・・岩場・・・フラットな雪の上、が正解か)で過ごす夜は、何にも代え難い。本当に、本当に。


そんな写真たちは明日焼き上がり予定。むふふ。楽しみ。今日の写真は、シカゴのGrahamが送ってくれた岩の上でおどける私。




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さて、仕事熱心な私は、(個人的な休暇にわざとらしく意味づけをしようという・・・わけではない)、最後に宣伝コーナーをつくっておこう。


Trek America で、Rainier国立公園を目指したいならこのツアー。(登頂はしません。Rainierを見ながら花畑の中をハイキングだし、トイレもピットがあちこちにあるから、心配しなくて大丈夫!)


Northwest Escape 14days


涼しく爽やかな夏を過ごしたい方へ。詳細は、地球探検隊 まで。