0322


アラスカから帰ってきて、11日分の溜まった仕事を片づけつつ、お腹壊して3日間絶食しつつ、それなのに探検隊自転車部で房総菜の花サイクリングいきつつ、お腹治ったと同時に雪の上で苺のシャンパンとタイカレー食べ過ぎて再びお腹壊しつつ、スノーシューなんて履いてないのに雪の上を軽やかに飛び跳ねる白ウサギに感激しつつ、香港赴任する友人を見送りつつ、


毎日を過ごしていたから、なかなか日記までたどり着けなかった。


じゃなくて。


アラスカという場所は、いつも魂を持って行かれるから、書こうとしても、書けなかったんだ。今まで。1週間かかった。ココロが、日本に戻ってくるまで。


***


雪の結晶は六角形だ、って、小学校で習った。


でも、本当に、六角形の結晶のままで、はらはら、パラパラ、シャランシャランと落ちてくるなんて。オーロラが見えない唯一のその夜は、オーロラに負けない自然の美しさを、届けてくれた。


「温度が低くて、乾燥している雪は、粒にならずに、結晶のままで落ちてくるから」なんて、そんな科学的説明はいらないよ。


寒さも忘れて、空を見上げ、黒い手袋にスパンコールのように舞い降りる雪を見つめ、足下にサラサラと広がる結晶たちを眺めるその時間は、おとぎ話の世界のなかだった。


***


キースにこのことを話しても、私の感激は伝わらなかった。「?」って、興奮している私を不思議そうに見て、「まあ、楽しそうでよろしい。おやすみ。」と部屋に戻った彼だったが、それは、アンカレジのMASA安藤兄に言わせれば、「それは、アラスカでは当たり前すぎる現象」だから。


なんて贅沢なアラスカ人たちよ!